1. はじめに
安価で高性能なマイコンRP2350を使って、お手軽価格(税込み2,200円)でPC版に並コンで本格的なCW デコーダを製作しましたので、記録を兼ねて紹介します。
2. CW デコーダでできる事
1)無線機で受信したCW信号(英文・和文)、および自分が送信するサイドトーン(モニター音)をデコードして、表示機(OLED 64x128dot)に表示します。(16文字x4行)
2) 受信中の音のスペクトラム表示、およびオーディオ信号のレベル表示(AGC補正後)ができます。 (スペクトラム表示、レベル表示の例)
3) PCに接続して、受信した内容をターミナルで表示できます。
3. 使い方のイメージ
(使い方のイメージ)
4. 本マイコン版CWデコーダの仕組み (従来のマイコン版CWデコーダとの違い)
- 従来のCW デコーダの構成
(従来のCWデコーダ)
従来のマイコン版CWデコーダでは、入力音声をそのまま、またはオーディオフィルタ(周波数固定)を通して選択した音声に対して、レベルの大小でモールス信号を抽出していました。
- 本マイコン版CWデコーダ (FFT方式)
(FFT方式のデコーダの図)
本マイコン版のCWデコーダではPC版のCWデコーダと同じ、FFT計算でCW信号(トーン)を選択してデコードしています。
従って、設定帯域外の信号は完全にカットでき、また帯域内で一番強いターゲット周波数のみを自動的に選択してモールス信号を抽出しますので、ターゲット周波数以外の雑音からの影響を最小限にできます。(自分でフィルタの周波数に合わせる必要がありません)
5. 信号処理部 (サンプリングとFFT計算)
必要なサンプリング回数
モールス符号の速度はWPM(Words per Minute)で表され、例えば20WPMの場合、ドット(短点)のOnの時間は60msecになります。このモールス符号をデコードするには、On期間に少なくとも3-5サンプルが必要です。 → サンプル間隔は10msec以下(100サンプル/秒以上)が必要
- 従来のCWデコーダ = 音声信号の強弱でOn/Offを判断
ADCで100回/秒以上のサンプリング(容易)
欠点は、信号以外の雑音が信号に含まれるため、ノイズの大きい条件でのデコードが困難
- 本マイコン版CWデコーダ = ノイズへの耐性が高いFFT方式でOn/Off判定
FFT計算を100回/秒以上実行する必要がある。(計算量多い)
今回は、浮動小数点演算機構を内蔵していてFFT計算が速い RP2350を採用。 小型化のためにXIAO RP2350を使用する事にした。(参考) マイコンの 性能比較表(π計算とFFT計算時間)
サンプリング周波数の決定
- オーディオアナライザの場合、高いサンプリング周波数(48kHzなど)で広範囲の解析。
- CWの場合、すでに無線機のAFフィルタで帯域制限済で、600Hz±250Hzの範囲(*)をカバーすれば良い。(*)IC-705のCW (FIL2)の場合、350Hz-850Hz
→サンプリング周波数は2560Hzとした。(1280Hzまでが解析の対象)
周波数解像度の決定
- ノイズからターゲット信号を分離するためには、周波数解像度をある程度細かくする必要がある。(ただし解像度を上げるとS/N比は改善するものの計算時間がかかる)
→ 周波数解像度を20Hzと設定
6. 信号処理部 (ノイズ処理とOn/Off判定)
オーディオ・スペクトラム(FFT)方式のCWデコーダの構成
ノイズ処理1
ノイズ処理2
最終的に、最も強い信号の強弱に注目して、AGCをかけた後でOn/Off判定を実施する (冒頭のオーディオスペクトラム表示、およびレベル表示の例を参照)
7. モールス符号解読部
- 電鍵読み取り部(デジタル入力)は、FFT計算で信号のOn/Off判定の部分に相当
- モールス符号解読部は、時間測定→符号判定→文字判定の部分
- 文字判定は、二分探索アルゴリズムで高速探索して文字符号に変換
- 文字符号は単独文字だけでなく、連結文字(例えば”AR“,”BT”,”CU”,”TNX”など)も登録できます。(ただし、”TU”は’X’と区別ができないので不可)
- 英文・和文の切換えは手動(プログラムは、「ホレ」を"<<"、「ラタ」を">>"と表示します。これを打たない人もいるので、自動切換えはしていません)
8. 回路図と専用基板
11.使い方
- CW Decoderに無線機からのオーディオケーブルとUSB電源(またはPC)を接続
- 無線機の音量レベルを調整 (AF15%-20%)
(マイコンのLED(橙色)が雑音で点滅しないレベル) - 欧文と和文の切換えは手動 ➡ ボタンをPush
([Alpha], [KANA]と表示されます)「ホレ」は”<<“、「ラタ」は”>>”と表示します。 - グラフ表示の切換え
ボタンの長押し(3秒以上)で、スペクトラム表示、オーディオレベル表示へ切換えます - PC表示 (大きく表示するデモ用)
デコードした文字は、USB経由でPCのターミナル(TeraTermなど)で表示ができます。
(通信速度115200bps)





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